遺産分割協議書
遺産分割協議書は遺産分割協議の内容を記載した書面です。
具体的には、被相続人の相続財産について、いつ、誰が、どのように分割したかを記した書面といえます。
相続による不動産の名義変においてはこの書面を法務局に提出しなければならないこともあります。
遺産分割協議の手続き
遺産分割協議は相続人全員の意思表示が必要です。
遺産分割協議は取締役会などと違い、全員が一同に会する必要はありません。
分割協議の対象となる財産は遺産共有の状態にある財産です。相続財産には遺産分割協議の対象にならない財産もあります。
民法上書面の要式が定められているわけではありません。しかし、法務局や銀行等に提出するのであれば、対象財産の特定や意思表示者の特定などが不明確だと受け付けてもらえないとこになります。
遺産分割協議の詳細解説
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは共同相続人間において遺産共有状態となっている相続財産についての処分にについて決定する意思表示です。
遺産分割協議の対象となる財産とは
遺産共有とは遺産分割の対象となる財産で未だ遺産分割されていない財産です。
例えば、可分債権については原則として遺産分割の対象にならないとするのが判例です(ただし預金債権については対象となる(平成28年12月19日最高裁判例))
また、判例上、不動産のような特定物について「相続させる」というような文言で遺言が作成されている場合(遺産分割方法の指定といいます)は、かかる財産については遺産共有とならず、遺産分割を経ないでその相続人の所有となります。
遺産分割方法の指定とは
被相続人が遺言で遺産分割の内容を決定することをいいます。
上記のように、遺産分割方法の指定がなされた特定の財産は直接相続人に移転し、遺産分割の対象にはなりません。
判例は以下のように承継の論理を説明しています。
被相続人の死亡によって原則として一切の財産が相続人に包括的に移転し、相続人の共有状態になります。
そのご遺産分割協議が整えば、遡及効により相続財産は始めからその相続財産を受ける相続人に帰属していたと擬制されます。
遺産分割方法の指定はこの内容を遺言で決めてしまっているのだから、分割方法の指定があった特定物は遺産分割協議の対象とならず、始めからその相続人に承継されたとするというものです。
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書
全員が1枚の書面に署名捺印したものが協議書、各別に押印したものが証明書というような区別をする人もいるようです。
しかし、そもそも遺産分割協議は諾成契約であって要式行為でないのですから、書面の内容に法律上の決まりはありません。
どちらも遺産分割という法律行為を記載した証明書であることに変わりはなく、言ってしまえばどちらも遺産分割証明書ということができます。
したがって、表題がどうなっていようと全員分の署名押印があれば証明書として機能します。
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